「すごい お空がひかってる」

「あれは星っていうんだ」

「ほし?」

「そう、星。だから、俺とが離れてても 空は繋がってる」

「・・・・・よくわかんない」


ううん 今ならわかる


僕とルークは繋がってる。  この空をとおして









□□□君が歌う鎮魂歌□□□














「げっほ・・・・砂っぽ・・・」
「砂漠の近くはみんなこうです。早く慣れなさい」
「無理言うなよジェイド・・・特に女性には辛・・・・・・じゃなかった、悪いな;;」
の鋭い眼光によってガイは口を噤んだ。
どうしてもを女性だと認識してしまうらしい


「何年も来て・・・こほっ・・・・なかった、から・・・でも大丈夫だよ」
がこほんごほんと咳き込みながら、船を下りる。
「へぇ・・・戦争じゃ・・ないんだよな?」
「視察で来たことがあります」
ガイの問いかけに、少し緊張したような顔でが答えた。まだちょっと信用されていないらしい


「おやぁ視察ですか?陛下とでもお忍びで来たんですか?」
「ちっ違う・・・・ような違くないような」

たまに城を抜け出す皇帝のお供をしているのはだ。
毎回毎回兵を騙して抜け出すのは心苦しい、が皇帝陛下の‘お願い’なら天秤が傾くほうは決まっている。

「ほう・・・違くない、のですか」
「い、いや・・・ここには来てない・・・・・けど」

お忍びとは言っても、ほとんどはグランコクマの城下をふらふらする程度だ。
もし何かあったときに、すぐ戻れるように。

「まぁ、追求しないでおきましょうか」
「・・・・・・・・」
ホントにこいつは・・・なんて心の中だけでジェイドの口の強さを恨む。

亀の甲より年の功、なんてジェイドが言うようにはなってないと思う。
僕だって、勧誘を断るのが強くなったんだから。



「お兄さん見てくださいよ!いやー本当によく磨けるんですよーこれ!」
現に今、くどいくらい引き止めてくる勧誘に足止めされていた。

「(このおっさんしぶといな・・・)」
「(なぁガイ、こいつちょっとウザくね?)」
「(ルーク!そこはなんとかして切り抜けるんだ!)」
ガイが慌てて本当のことをボソっと言ってしまうルークの口を塞ぐ。

「自宅にも質のいい研磨剤がありますので・・・」
「でもさぁーこれってちょっと高いんじゃない?」
「おや。アニスは厳しいですねぇ」
困ったように答えるティアと、やっぱり値段に厳しいアニスにそれを茶化すジェイド。

・・・ジェイドは絶対に他のメンバーに任せる気満々だというオーラが漂っているが。
「あ、ほら!そこのお嬢さんも!その剣ちょっと貸してくださいよ、とっても切れ味が良くなりま・・・」
「パパ、ママが待ってるから早く行こう!」
商人の言葉を遮っていきなりが叫び、ジェイドの手を握って走り出す。
「え、パ、パパ・・・!?」
「はぁ!?」
「ジェイ・・・・」
「えええええ!?」
「大佐・・・・」
驚いたように声を上げる商人に、ぎょ っとするルーク。理由は分かっているが想像してしまって気持ち悪くなったガイに、悲鳴を上げるアニスと呆れるティア・・・



ひとしきり走ったところでが立ち止まった。


ってあんな芸当ができるんだ・・・」
「お、俺も驚いた・・・ジェイドがパパって・・・」
「大佐・・・何歳のつもりなんですか」
「おや。これ以外にもレパートリーはありますよ?たとえば・・・」
「‘お兄ちゃん’とか」
が相手に刃を向けてみたり」
「ジェイドをママって呼んでみたり」
「な、なんでもできるんだな・・・・;」
「大佐がママ・・・・・うえぇ気持ち悪いかも・・・」
「はっはっは。そこは愛嬌です。」

にやにやと笑いながらジェイドが一つ咳をした

「では私たちはアスターのところへ行ってこの音譜盤の解析をしてきます。
 いいですか。絶対に揉め事を起こさないで下さいよ?」
先頭を歩いていたルークたちを引きとめて、にもう一度振り向いてジェイドが言う。
「あれ?も一緒に来るんじゃないの?」
「調子でも悪いんですか?」
アニスとイオンが心配そうに覗き込んでくる。
「体調が悪いわけじゃ・・・」
「そこらへんの店でも覗いていたら時間は潰せるでしょう。まぁ揉め事を起こしたら放って帰りますから」
「子供じゃないんだから起こさないよ!」
ふいっと横を向きながらが拗ねたように口を尖らせた。
心配そうなイオンを連れて、ジェイドたちはアスターの屋敷へ歩いて行く

「・・・ごめん」
ぽつりと一言呟いてから、は近くの店に走っていった。














「そろそろ食料がまずいかな・・・それとも防具か・・・」
ぶつぶつと呟きながら、ふと覗きこんだお店にはこの旅にまったく必要のないものが並んでいた。
「うわぁ・・・お人形だー!」
手作りの荒っぽさがあるけど、それを差し引いてもとっても可愛い人形がたくさん・・・
くまに、うさぎに鳥。犬もねこも、ぶうさぎだってある。
「買っちゃ、ダメかなぁ」
ジャイドは怒るかな。使うのは僕のお金だけど、旅に関係ないからいい顔しないかも・・・
「でもグランコクマには動物のお人形ないんだよね」
よく出かけてきた陛下にプレゼントで買ってきてもらったりしてもらったものがたくさん部屋にあるし、
ルークにもらった大事なお人形もある。
「いらない、かなぁ・・・」
「買わないのかい?」
声をかけられてびくっとしてしまう。あんまり初対面の人とは話すのが得意じゃないから戸惑ってしまう。
「あ・・・ごめんなさい。お家にたくさんお人形があるから・・・」
「そうなのかい・・・とっても大切なお人形なのかい?」
なんだか満足したように頷きながらおばあさんがにっこりと笑いかけてくる
とっても大切な・・・赤い髪の、とってもとっても大切なお人形
「うん・・・あ、じゃなくて、はい」
「大切にしておやり。」
「あ、ありがとうございます・・・!」

なんだか不思議だけど、とても優しそうなおばあさんだった。

懐かしい感じがする人・・・会ったことがあるわけがないのに。
既視感、ってヤツかな?



ジェイドが解析を終えて帰ってきたみたいだ。
ここにいるよ、と大きく手を振った瞬間

後ろで叫び声がした


















「おとうさんの敵・・・覚悟!!!」
ばっと振り返ったの瞳に映ったのは、刃物を構える黒い髪の少女。
!?」
「危ない!」
ガイとティアが同時に叫ぶ。

「ゎぁああああぁああぁぁああああああああ!!!!!」
叫びながら突っ込んでくる女の子。

は、刀を構えずに刃をかわして少女の腕を捻りあげた


「カタキ?僕は戦争には出てない。何かの勘違いじゃない?」
「嘘だ!だっておとうさんを殺したじゃないか!!」
!大丈夫か!」
「お・・おい!そいつまた切りかかってくるんじゃ・・・」
「大丈夫でしょう。それよりも・・・」
心配しながら駆け寄ってくる仲間を尻目に、は少女と押し問答を繰り返していた

「だってあんたはマルクトの軍人だろ!」
「たしかに僕はマルクトの軍人だよ。でも戦争には出てない」
「戦争に出ないでなんであたしのおとうさんを殺すんだよ!」
「だから戦争には出てない!!」
「二人ともそこまで。も熱くなってはみっともありませんよ。それに聞きたいこともあります」
止めに入ったジェイドが、の代わりに少女の腕を取って言う
「ガイ。縄を」
「また俺か。まぁいいんだけどな」
ちょっと驚いたまま、ガイが腰につけておいた縄を一巻きとってジェイドに手渡す。

「あなたのお父さんは殺されたんですか?」
手渡された縄で少女を縛りながら質問する
「そうだよ!こいつに殺されたんだ!」
「だから殺してない!!」
「嘘だ!」
「やってない!」
「嘘つくな!」
「嘘なんてついて・・・」
「やめなさい!黙らないと船には乗せませんよ。
縛り終わったジェイドがをきつく睨みつけながら怒る。
「だって・・・」
「いいですね。わかりましたか?」
「・・・はい」
「それでは改めて。あなたのお父さんは、このに殺されたんですか?」
「そうだよ・・・」
ジェイドの真っ赤な目に怯えながら、少女が続ける

「それはいつのことですか」
「5年前・・・マルクトの軍人に・・・」
「それを誰から聞きましたか」
「おとうさんと一緒に戦争に行ったおじさんに・・・」
「その人はなんと?」
「銀髪の軍人がおとうさんを殺したって・・・」
「性別は?」
「し、知らないよ・・・銀髪の人だってことだけ・・・」
なら、と笑みを浮かべて続けた

「あなたは銀髪の軍人はマルクトに一人しかいないと思っているのですか?」
「え……っ」
「あ、そういえばフリングス少将も銀髪だし、シュウィニ二等兵も銀髪・・・」
「じ、じゃあ・・・」
「それには15歳です。5年前というとは10歳。我がマルクト帝国では子供を戦争に出すほどの国民への酷遇などはしません」
「・・・・・・ぁ、ぅ・・・」
自分の過ちが理解できたのか、少女は真っ蒼な顔をして震え始めた
「あなたはあなたの叔父の「銀髪の軍人」という言葉だけを信じて彼に剣を向けた。それがどういうことか、わかりますね?」
「ご めんなさい・・・ごめんなさ・・・っ」
「ジェイド!それ くらいに・・・」
「と、まぁ私も一般人に手を出したりしませんよ」
あっはっはと快活に笑ってジェイドが女の子を縛っていた綱をほどいた。
「え・・・っ」
女の子は殺されるとでも思ったのか、瞳に涙を溜めていた
「どこへなりと行きなさい。ただし、再度刀を翳すようであれば・・・」
「わ、わかってます・・・マルクトの軍人にも切りかかったりしない・・・しません」
「よろしい。も・・・それでいいですね?」
「うん。だって間違いだったんでしょ?それなら別にかまわないよ」
「ごめんなさい・・・本当に・・・・ごめんなさい・・・・」

が女の子を立たせて、背中を押してやる
「ごめんなさい・・・」
「もういいよって。謝るくらいならお父さんの分も生きてよ」
「うん・・・ほんとに・・・けが、しなかった?」
「大丈夫だよ。一般人に刺されるようじゃ降格されちゃう」
「じゃあ、さよなら・・・」
たたた、っと走り出した少女を呼び止めてが言う

「君!名前は―――」
「サーリ!お姉ちゃん、今度またあたしが刺すまで死なないでよー!」
「そっちこそ!」

女の子が消えた人ごみの方をじっと見つめてから、やっとが振り向いた
パーティ全員の目が集中する

「あの子、まさか・・・」
「え、なに?」
「ずっとのこと女の子だと思ってたんじゃ・・・」
「え゛っ」
「だって最後だって「お姉ちゃん」って言ってたし・・・」
「ま、まぁ誤解はとけたんだし・・いいじゃないか!なぁジェイド?」
「さぁ?何の話でしょうか」
「おいみろよガイ!これ旨そうだぜ!」
「ちょっと待てルーク!それ売り物だから食ったらいけないんだって!!」









僕らは出会っちゃいけなかったのかもしれない。





死へ向かう者 破滅の道を歩む者





それでもあの時の言葉は真実だと  信じたい








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(07-12-21)