人は、無条件に愛されることを 当たり前だと思い込んでいる
それ相応の資格のない者は 愛されるに値しないということを
与える側も 与えられる側も自覚していない
□□□君に死神の口付けを□□□
「お。今日は早いんだな」
「起きちゃった」
ごちそうさま。と箸を置いてが笑った。今日はちゃんと完食したみたいだ。
昨日も一昨日も熱が下がらなかったから、「今日は行けるのか?」なんて問いかけながら体温計を手渡した
「んー・・・下がったな」
「よかったねー」
「うん」
「姉無理しすぎなんだよ・・・」
「ごめんね?」
「謝んなくていいんだよ」
「お兄ちゃんのご飯もよそるね」
いつもと同じ、朝の光景。
食卓には、食べ終わった空の食器が並んでいる。
「今日は学校行くか?」
「・・・いく」
「よし。じゃ、水色待たせてるから早く着替えて来い」
の頭を撫でてから、遊子の出してくれた朝食をつまむ
「立って食べない!」
直後、制服を着たが階段を駆け下りる。
■
6/16 午前11:46
「またこの日が来ましたね」
白と黒の影が言葉を並べる
「そろそろ命日が近いんだろ?」
会話、ではなく
「今の状態が幸せなのでしょう」
互いの言葉は聞こえず
「あの子が俺達の真実に気付くまで、あとどれくらいだと思う?」
一生出会わないことも考えられる互いの存在
「明日かもしれないし、100年後かもしれません」
「それでも護り続けるんだろ?」
「当たり前のように明日は来るのです」
二人は同時に言葉を切って、見えぬ主に膝を折る
「「主の御心のままに」」
■
「・・・。」
ちゃんと学校も行って、どこにも寄らずに帰ってきて、ご飯も食べた。
飲んでたお茶を飲み下してから、一息ついて答えが返ってくる
「ふー・・・どうしたの?」
「一緒に風呂入るか?」
家族会議(って僕は呼んでる)も終わった後で、
もうお風呂に入って明日に備えて寝るだけ、という時間。
「・・・ううん、いいよ。今日は一人で入る」
「おう。あんまり長く浸かるなよ?」
「うん。ありがと」
いつもは一護と一緒に入るけど。今日は 今日だけは一人で入りたい
自分の部屋に行って、寝巻き(オレンジとか、黄色の入った可愛いやつ)と下着を持って、もう一度階段を降りる
「のぼせたり、気分悪くなったりしたら呼べよ?」
「大丈夫だよ。じゃあお先に」
一歩、浴室に足を踏み入れると、真っ白な湯気
結構、この瞬間が好き。
なんだかこの空間だけが時間軸から外れて存在してる、みたいな感じ。
ちゃんと頭も洗って、体に付いた泡も流しきって、ざぷんと(未だに湯気を立てている)湯船に浸かる。
ふぅっと一息ついて、少しだけ水滴の付いてる天井を見上げた
「お母さん・・・」
記憶に残る優しい笑顔
・・・笑顔?
「僕・・・どうしちゃったんだよ・・・・・」
何も思い出せない 何もわからない
「おかしくなっちゃったのかな・・・!」
確かにその場所に「居た」と記憶してるのに わからない
いつも笑っていた 母
子供ながらにかっこいいと思った 父
その隣で嬉しそうに笑う 一護
自分は その場所に 確かに居たのだろうか ?
「もぅ・・・わかんないよ・・」
立てた膝に腕を乗せて、顔を埋める
頬を濡らす水滴は 湯 なのか 涙なのか
「こんな・・・こんな・・・一護に知られたくないよ」
自分への自問自答は、不審に思った一護が声をかけるまで
続いて
最愛の母の命日 も 過ぎた
(07-02-08)