これは・・・僕の記憶なのだろうか?




鮮血が目の前を過ぎる




死の予兆か それとも繁栄への道か






それでも僕らはここに居る。




それは、紛れも無い真実なのだから










貴方へ。願いを込めて。









□□□君が歌う鎮魂歌□□□

















「・・・・・・・」

「もー!なによこれぇー!ありえなーいぃ!!!!」

「・・・・・・・・」


「イオン様が危なくなったらどうするのよーっ・・・・・アンタも何か言ったらどうなのよ!!!!!!」


吹っ飛ばされたばかりでよく叫べるな。なんて考えながら相槌を打つ



「合流地点に行こう。ジェイドがきっとイオンを無事に連れてきてくれる。」
「わかったよーわかりましたよー。この痛む体を抱えてセントビナーまで行かなきゃならないなんて・・・あーあ!」
「・・・どこか痛いところでもあるのか?」
「そりゃーあるよ!ありまくるよ! 叩き付けられて痛いのなんのって・・・」
「そのわりにはよく喋る」
「ふんだ!アニスちゃんは寂しがり屋なんですー!」
ジェイドなら大丈夫。絶対だと言える自信があった。




だってジェイドは自分を助けてくれた人だから。



地獄の底から引き上げてくれた人だから



だから、絶対ジェイドは信頼できるひと。裏切られても怖くなんてない。大好きだから。





「・・・行かないなら置いていく」
「は!?ちょっとー!おぶってあげるよアニスちゃんとか言ってくれないわけー?待ってってばー!!」
「                   」
「・・・・何?なんか言った?」
「いや・・・早く行こう」








立ち止まれないんだよ 僕は。







































「・・・・・・・・・」

導師を休ませるために取った休憩は、もう夜に近く
そのまま休もうと言うルークに押し切られる形で、夜営にもつれ込んでいた。

「ジェイド?どうしたんだ」
「あぁ、ガイですか・・・少し心配になったんですよ。」

食事を前にして、難しい顔をして考え込んでいるジェイドの傍にガイは腰を下ろした。

「あー―・・・“”って子のことか?」
話でしか聞いていない、と云う名の仲間。
ルークは散々酷くこき下ろしていたが、会ってみたい気もする。

「えぇ。アニスと一緒に居るなら話は別ですが。一人となると・・・」
「心配になるのも無理ない。ってことか。」
「非常時のために携帯食料は渡してあるのですが・・・」
「うーん・・・・・無事だといいんだけどな・・・」


そこまで言って、疑問を感じた。



「アニスのことは心配じゃないのか?」
「ああ。アニスは大丈夫ですよ。アニスですから」
「ははは・・・(なんか凄い子なんだろうなー・・・アニスって子)」

苦笑いするガイの脳裏には、大女で髪を二つに縛った女性の姿が浮かんでいた。





「セントビナー・・・無事に到着してるといいんだけどな」



「大丈夫です。は強いですから」



































「・・・ここに宿を取るのはよそう」
「へ?なんでなんで?」
セントビナーまであと少しというところで、唐突にが言った。

「なにか居る・・・ここには居られない」

「理由は言えないってワケー?なんかワケありー―!」

でも大佐が信用してるんだからいいか。とアニスは町の入り口の方へ向かいかけていた足を戻す。
「すぐに手紙を書いて・・・第二合流地点へ行こう。国境の方なら大丈夫かもしれない」
「わーかーりーまーしーたー。まったく人使いが荒いんだから・・・」

ぶつぶつ言いながらも、ちゃんと指示に従ってくれる。
マクガヴァン元帥なら、きっとジェイドに手紙が届くだろう。

「城砦都市だけど・・・越えられないことはない。裏から入る」
「はいはいわかりましたよ。何言っても裏手から入るんでしょ?付いて行きますよー・・・」


周囲に兵士がいないかどうか確認しながら、身を隠せる森の方へ移動する。






「・・・やっぱり森は危なかったか・・・・正面から蹴散らして行ったほうが」
「ちょっと!そんなことしたら危ないでしょ!・・・なんでわかんないのかなーマルクトの軍師さんは!」

正面突破を考え始めたを、アニスがひそひそと小声で注意する。

「・・・私は軍師じゃない」
「人間誰だって間違いはあるの!そんなことで怒んないでよっ」

もともと考えるのは苦手なんだ。なんて心の中で呟いておいた。




「このあたりか・・・私が先に上がる。待っていろ」
「命令するんなら失敗しないでよ!」


音を消して壁を登るのは得意だ。




・・・何年経っても料理だけはできないけど。


「・・・・・・」
「・・・・・・」

がさがさと肩掛けのバッグの中を探りながら、壁の高さを見る。



「(これだと調整しなくても登れそうかな・・・)アニス。」
「はーい、なーんでーすかー」
「バッグ。持って上がる。貸せ」
「落とさないでよー!」


すっとバッグを左手に持つと、右手でフックを回す。



「・・・・・・」
目測ではかり、回す長さをどんどん長くしていく・・・・




「・・・っと」

うまくひっかかった、と同時に鉄線を引き宙に浮く。






「登ってこい」
「ちょっとそんなに高いの!?無理だよぅ〜」
「ならロープを体に括り付けろ。」
「なっ、なんで?」
「引き上げる」
「はぁ〜!?そんなの無理に決まってるでしょ!ムリムリ〜!!」
自然と声が大きくなる。
「早くしろ。捕まりたいのか」
「あーもう!わかったよ!わかりましたよ!!あ〜あ〜なんでアニスちゃんがこんなことしなきゃなんないのよ・・・」
「・・・・・・・・・」

ぶつぶつと文句を言いながら、ロープを両手で交互に掴んで足を壁につけて登ってくる。

「まったく・・・ルーク様がこんなとこ見たら呆れられちゃうかも・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・はっ、もしかしたら「そんなアニスも可愛いよ」とか言われてそのまま幸せな結婚生活〜?!」

「・・・・・・・・・・・・・」

「結婚するならぁ、おっきなダイアモンドの指輪を買ってもらって、贅沢な毎日を送って、美味しいもの食べて、」
「黙って登ってこい」
「はいはいわかりましたよ!!」








やっと登りきったアニスの手から、ロープをくるくると巻き取りながら
はマルクト基地の場所を確認していた。

「あー疲れた。大変だった。ちょー大変だった!もう二度とやりたくないぃ〜!」
「・・・飛び降りろ」
唐突に、アニスの顔も見ずにが言う。
「はぁ!?何言ってんのよ!!この高さを!?ムリムリィ!!」
「なら突き落としてやろうか」
「ちょっ・・・! 女の子に対してその扱いはどうかと思うんだけどなっっ」

「―――――――。」
「溜息とか吐かないでよ!!あたしが悪いみたいじゃないの〜!」
「ロープを腰に巻け。降ろしてやる」
「いいですよーだ!ロープ貸してよ。自分で降りるからっ」
そう言うと、ぱっとの手の中から綺麗に巻き取られたロープを手に掴んだ。

「・・・・・・」
「・・・落としたりしないでよ」
「そう言うなら飛び降りろ」
「いーやーでーす!」
フックを角に引っ掛けて、す・す・すと降りていく。


下につく頃には、腕がぴりぴりと痛んでいた。


「手ぇいたーい・・・」




アニスの1/3程の時間をかけて、は城壁から飛び降りた。







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(06-11-06)
(06-12-27)ちょこっと修正