嫌な夢を見たの




貴方が消える夢


貴方が消えて 他の誰かが私に笑いかける夢








綺麗な光を見たの




あの時貴方と見た光


あの虹と同じ色 同じ光で笑う









きっと 忘れてはいけない









□□□君が歌う鎮魂歌□□□

















「あっvvルーク様―――――!!」
さっきまでぶつぶつ文句を言っていたくせにと心の中でひとりごちる。
走っていくアニスを見つめながら、直していた剣のベルトをカチンとはめる。

そのまま、歩いてきた一行と少しだけ離れているジェイドに歩み寄った。
「・・・ジェイド」
「大丈夫でしたかー?私が居なくて寂しくなかったですかー?」
「大丈夫だよ。旅券がなかったから待ってた」
少しだけ疲れた笑顔で尾を振った。




あの後、疲れるまで走って、追っ手を撒いた。と思ったら魔物が来たり、アニスが疲れたと言うと休息を取り、
タルタロスから敵に吹き飛ばされて外に落ち、気絶していたものだからまともな食料も持ってなくて、
(それでも元帥に料理に使えるものを貰ったが)少し腹が減っていた。
・・・アニスの料理は美味しい。 でも、夜営・・・(しかも二人だけ)となると、料理も休息も簡単に済ませられる物に限られてくる。
やっぱり、育ち盛りの子供二人にはキツイものがあった。


やっぱり量より質・・・だけどたくさん食べたい。少食だけど。




「紹介しますよガイ。この子がで、そこに居るのがアニスです」
「(想像してたより全然逞しくなかった・・・!)こんにちは。俺の名前はガイ、よろしくな」
「・・・・よろしく・・・お願いいたします」
ジェイドに向ける笑顔とは全く違う顔で、頭を下げる。 警戒している近衛兵のように。
「よろしくー☆アニスちゃんだよーっ」
そのままアニスに近づかれてあとずさったガイには目もやらずに、ジェイドに話を続ける

「お腹減っちゃった・・・ジェイド、何か持ってない?」
「んー?持ってますが、高いですよー?」
「ジェイドー・・・」
「ははっ、冗談ですよー。はいどうぞ」
取った食事の余りのパンを差し出すと、嬉しそうに食べ始めた。







ジェイドにパンを貰って(見た目)嬉しそうにもふもふと食べるを見ながら、ガイが呟いた
「意外と子供っぽいんだな・・・」
「子供ですよー?まだ15歳ですから」
「15か・・・もう少し若いと思ってたんだけどな」


そんな声も、腹を満たそうとパンをほおばるには聞こえない。 雑音のようなものだ。



ごくん、と口に入れた分を飲み込むと、もうひとつ・・・と左手に持ったパンを口に運ぶ。







突然 ギィン、と刃と刃がぶつかり合う音が聞こえた。





振り向いて、食べようとしていた物を取り落とす。 そんなこと、どうだっていい






























―――――――――――――――――――――――閃く鮮紅。















「ルー・・・・・ク」



すべての時が止まった気がした。




誰かが叫ぶ音も 剣がぶつかる音も 全部






何も聞こえなくなる 瞬間





‘あの人’が そこに 居る



今まで、髪の赤い人なんて腐るほど見てきた。


やっと  見つけた











その瞬間、すべての色と光が消えた





































「――――」




ああ、ルーク





「―――――――――」





聞こえないよ?何を言っているの?






「―――― ―――――――――――――」






声は聞こえないのに。言葉はわからないのに。






「ヤだ・・・聞きたくないよ」






思わず小さな手で耳を塞いで








「―――――――――――――消えたくないよ」










ただ消滅を待つ瞬間なんて。































「・・・・・、・・・・・・・・」
「・・・?・・・・・・!」


声が、聞こえた




まだ、もう少しこうしていたい


「・・・っとによー!コイツ死んでんじゃねぇの!?」
「ただの貧血よ。きっとじきに起きるわ」


でもすぐにでも起きなければ。そんな思いが交差した


「・・・・・ジェイド」

「ああ起きましたか。気分はどうですか?」
「大丈夫だよ・・・・・・僕・・・?」
「急に倒れたんです。貧血でしょう?」
前々から貧血なんて日常茶飯事だった。気絶することも、多々。

「そう・・・かな。」
「テメェいきなりブッ倒れてんじゃねー!俺はすぐにでも出発したいんだよ!!」
ギリギリと歯軋りするような顔をしながら、目の前でルーク・フォン・ファブレが声を荒げていた
「申し訳ございませんファブレ殿。少し待っていただければ準備いたしますので」
「とーぜんだっ」
「こらルーク!の体調のことも少しは考えろ!」
さっき紹介された・・・ガイ、がルークを諫めた。


「それにしても大丈夫なのか?いきなり倒れたから心配して・・・」


「大丈夫です。問題ありません」

ジェイドに対する口調とはあまりに離れすぎた(というより警戒した)言葉遣いで切り返す

「イオンも休まれたようですから出発しましょう。旅券は・・・」
「ヴァン謡将からいただきましたよ。」
「おら行くぞ!俺は早くヴァン師匠と合流したいんだよ!」
「申し訳ありません」
手早く上着だけ(どうもジェイドは気を使って上着だけ脱がせて寝かせてくれたようだ)羽織ると、
剣をベルトに下げながら、扉の前で足を止めていてくれたジェイドに駆け寄る


「・・・ったくよー昼近くになっても起きねぇし・・・ヴァン師匠に置いていかれてたらどーすんだよ・・・クソ」





歩きながらも文句を言う先頭の赤髪を見つめながら、ふと思った

「(貧血・・・というよりほとんど精神的な疲労による気絶・・・か)」
ちらりと一歩手前を歩いている自分より頭一つ分小さい銀髪に目をやって、こうも推測する
「(いや。はアニスと反りが合わなかったわけではない。・・・とすれば)」

あの時倒れたのは何故か?

が「ルーク」と名前を呼んだ時、「アッシュと対峙したルークを見て心配して声を上げた」程度にしか
考えていなかったものの、今思えばずっと「ファブレ殿」と呼んでいたルークの名前を口に出していたのは不自然だ。

それに何故、気絶する必要があった?心配したなら心配したで、のスピードにすれば
あの位置から二人のところまでヴァンよりも早く行けた筈。








―――――――――――――何かが奇怪しい。













「・・・・ジェイド」
「ん、ああ・・・ヴァン謡将は海沿いに行けば軍港に着くと言っていました。従うのは不本意ですが、ここは彼の言葉を信じましょう」
「てめぇヴァン師匠を信じねぇってのかよ!?」
「そうは言ってませんよ?ただ海沿いの方が時間が掛かると思いましてね」
「あ・・・じゃー真っ直ぐ行った方が」
「それでは確実に迷いますがね」
「クソーーー!!あーもう!それもこれもお前が起きるの遅いからだろ!ムカツク!」
「ここは一刻も早く歩を進める方が良策と存じますが」
「わかってるっての!クソ・・・・・・」




真実は、未だ白い獣が握っている







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(07-01-07)