いつかきっと外を見れると教えてくれた




それはいつ?




初めて目に入った“外”は、頭上一面の蒼






丸く、中庭から見えた空じゃない








見渡すうみ一面の  空









□□□君が歌う鎮魂歌□□□














攫われた整備士を助けるため、僕らはコーラル城へ向かった。

地名や誰の所有物かは、昔家庭教師に教えてもらった地名とかじゃなく
ジェイドに教えてもらったから知っていた。


話は逸れるけど、ジェイドは人に教えるのが上手い。
難しい言葉もたくさん使うけど、それがわかるならこんなに腕のいい人はキムラスカにもマルクトにも居ないと思う。
出会って一年で分かった。「ジェイドは確証の持てないことはなるべく話さないようにしている」

きっと、ヘンに希望を持たせたり、混乱したり、誤解を招くことを知ってるから。



そう、巨大な音機関を見上げながら思った


「な、なんだよ・・・・・俺に関係あるのか?」
「・・・・・・・まだ結論は出せません。もう少し考えさせてください」
少しだけ、うろたえたようにジェイドが呟くのを聞いて、目線をジェイドの方へと移動させる
じっ、と沈黙した機械を見つめるジェイドの赤眼が、今までにない色で
すこし怖いと思った
「珍しいな。あんたがうろたえるなんて」
ガイにもわかってたのか。と少しだけ驚きもした。
・・・まぁ、ジェイドが裏をつかれたりして驚いたりするのは数年に一度、あるかないかだってことぐらいはわかってるけど。

今度はジェイドが、今まで見つめていた機械と同じくらいの冷たい温度の目で
喋りだしたガイの方を見つめる。



「俺も、気になってることがあるんだ。もしあんたが気にしてることが、ルークの誘拐と関係あるな――」

「きゃーっ!」



予想してなかった音が耳に届いて、思わずびくりと反応する。
空洞の空間に木霊するように反響し続ける声と、ざざざっと聞こえる波の音の合間に、
「ご主人さまぁ!鼠が!鼠がいたですの〜!怖いですの〜!」
と叫ぶ聖獣の声が微かに聞こえる。
それをまったく気にせずに、叫んだ声の持ち主の方向に目を走らせる。
それは、今までジェイドと会話を(一方的のようにも思えたが)交わしていたガイの真後ろだった


「――――!?」
「―――うわあああっ!や、やめろおっ!」
ガイはいきなり、まだ少し反響を残しているアニスの声に負けないくらいの大声を出して、
(きっと加減を忘れているんだろう)酷い力でアニスを引き剥がして突き飛ばした。

ちゃんと訓練を受けているアニスは尻餅をついた程度で済んだ。
きっと、一般人なら確実に骨が折れている、突き飛ばし方だった


「(な・・・なにが・・・?)」
「な、何・・・・?」
アニスは何が起こったのかわからない様子で瞬きをして、座ったままでガイの方を見ている。

「・・・・・あ・・・・お、俺・・・・」
僅かに青ざめた顔で呟くと、無理矢理笑顔を作ってアニスに謝っている。





「どうし・・たん、だ・・・?」
ここまでこの人の女性嫌いは酷いのか、と未だぼんやりする頭で呟く



「お前も記憶障害だったのか?」
そう、ファブレ殿――ルークと呼べと本人には怒られたが直す気はさらさらない――が訊いた

記憶障害・・・と、はまた呟く。
そういえばそんなことも言ってたな、7年前マルクトに誘拐されて、だっけ。
ここで見つかった、ということも聞いていた。

心外だ。マルクトはそんなことをするような国じゃない。
盗賊がいたり、難しい貴族はいたりするけど・・・・
わざわざ敵国の別荘に、攫った人間を置いていくなんてことはしないはずだ。

「わかるさ。抜けてんのは・・・・・俺の家族が死んだときの記憶だけだからな」



家族が――――・・・

「俺の話はもういいよ。それよりあんたの話を――」
「あなたが自分の過去について語りたがらないように、私にも語りたくないことはあるんですよ。いろいろと、ね」
ああ忘れてた。
何かを誤魔化すときにする、ジェイドの瞳を隠す 癖
ただ眼鏡を押し上げる動作なのに、拒絶されているように感じたのはどれくら前だったかな
もしかすると、出会ってすぐのことだったかもしれない。

「――――先へ進みましょう」







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(07-04-08)