目の前に深淵が見えたなら


貴方はどうしますか?


飛び込む?


避ける?


飛び越えていく?









□□□君が歌う鎮魂歌□□□














「・・・、クソッ!」
走り去るライガを視界にとどめた瞬間、ルークとアニスが走り出した。
馬鹿じゃないのか。罠だとは思わないのか。
零す一言に、そんな思いが乗せられていた

「追いますよ!」
すぐ隣――の頭上で――ジェイドが声を上げた。
思い立ったらすぐ実行、をそのまま映しているような言動と行動には頭にくる。

貴族がそれで務まるのか。未来を担う人間が、それでいいのか。


「うわっ!」
「―――っぁ」
そんな思考も、登りきった階段の先ではすべて消し飛んだ。
強い光が目を射したのだ。

「ふみゅ・・・・・・イオン様を庇っちゃいました。ルーク様、ごめんなさーい」
アニスの声が上から聞こえる。
仰ぎ見れば、ルークとアニスは青い怪鳥に捕らえられて塔の上を旋回していた

「イオン!」
「ぼ・・僕は大丈夫です・・・・それよりアニスとルークが・・・」
座り込んでいるイオンの傍に駆け寄って、自分の体でイオンを隠すように立ちはだかった

「・・・・・・っ」
ふっ、と目の前のアリエッタが片手を上げた。
何かの合図なのか、と思って左手で鞘を 右手で左刀の柄を握る。

「なっ・・・アニス!?」
攻撃ではなく、ただアニスを放せという命令だったようだ。
ティアのちょうど目の前にアニスが落ちて、跳ねた。
背中のトクナガの御陰か、特に怪我はないようだった
「いったーい!ひどいアリエッタ!痛いじゃん!」
トクナガの腕を掴むようにしてそう怒鳴ると、アリエッタが更に強くぬいぐるみを抱きしめて、言った

「ひどいの・・・・・・アニスだもん!」
泣きそうな顔でぬいぐるみを抱きしめたまま、強くアニスを睨みつける。
「アリエッタの・・・・アリエッタのイオン様をとっちゃったくせにぃ!」
「アリエッタ、違うんです!」
アリエッタの方を警戒しながらジェイドに助け起こされたイオンが、叫ぶように言った
「あなたを導師守護役から遠ざけたのは、そういうことではなくて――――」
イオンの言葉の続きは、青い怪鳥の生み出す風の響きと癇に障る笑い声に掻き消されてしまった

「この声は・・・・」
後ろでジェイドが心底嫌そうに眉を顰めるのが、見なくともわかる。

「うわあああああああ!!」
怪鳥がルークを放り出す。叫び声が強く耳に響いた
「ハーッハッハッハッハッハ!」
白髪の、王族が座るような豪華な椅子に座った男がルークを受け止める。

ぎり、と歯軋りしながら、白髪の男に眠らされてしまったルークを見ながら呟く。
「なんと間抜けな・・・」
後先見ずに突っ走るから悪いんだ。
おぼっちゃんめ、と心の中でだけ罵ってやった























ホンモノは何処?


ニセモノはこっち。


じゃあホンモノは



どっち?







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(07-04-15)