ねぇ
なんでお外にでてはいけないの?
私がわるい子だから?
私がみんなとおなじおめめをしていないから?
わたしが みんなとおなじかみのけをしていないから?
かぞく じゃ ないから?
□□□君が歌う鎮魂歌□□□
「ルーク様のお家って、総資産はどれくらいになるんだろう・・・」
「ファブレ家の総資産だったら、領地の税収と譜業兵器の開発企業の収益、それに服飾関係の工房も幾つか持ってたから・・・」
「ま、王族に次ぐ資産家であることは間違いないよ」
「はぅあ!王族に次ぐ・・・ルーク様って素敵♪」
「ファブレ家はただの貴族じゃなく、王族だからな」
真後ろから、そんな会話が聞こえてきた。
きっとぼんやりと上の空状態で話も聞いていないお坊ちゃんは、その自覚があるのかどうかは知らないが。
自分は王族なんだ、という誇りくらいは持って欲しいものだ。そうでなきゃ、税を納める国民も辛い。
「ルークは王位継承権の第三位だし、おそらく未来のキムラスカ・ランバルディア王ってことになるんじゃないか?」
「はぅううう!もしかしたら未来の公爵夫人どころか、未来の王妃!?きゅううん・・・なんか幸せ・・・アニスちゃん、ルーク様が大大大好き♪」
「・・・・悪趣味だわ」
同感だ。なんて心の中でだけ呟いておく。アニスは相手にすると話がややこしくなって大変になるから。
はぁぁ、と少し深めに溜息をつくと、すぐ隣のジェイドが笑いながら
「どうしました?資産の話を聞くだけで疲れてしまいましたか」
なんて茶化してきた。
「ち、違うよ・・・そんなんじゃ」
「それではバチカルに行ったら大変ですねぇ。倒れるんじゃないですか?」
「倒 れ な い 。大丈夫。疲れてない。」
「おや〜顔が赤いですよ〜?熱でもあるんじゃないですか?」
ぴた。と額に当てられたジェイドの手を振り払って、言う。
「手袋したまんまじゃわかんないでしょ!」
「あっはっはっは、気付かれましたか」
「はぁ・・・・」
アニスと話すのも大変だけど、ジェイドのほうがもっと意地が悪い。
結局、口で勝てるわけがないから疲れさせられて終わりになってしまう。
それももう慣れたと思ってたけど、ファブレ殿やガイやティア・・・
おちょくりやすい一行に会ってからというもの、もっと酷くなった気がする。
「ああ、ここですね」
ジェイドが立ち止まったのは、丸屋根の宿屋の前だった。
♪
(・・・・・・・・・・・あいつ)
ぼんやりと目の前で動く銀髪を見つめながら思考に耽る。
(ジェイドより強いんじゃねぇか・・・?)
事はアリエッタとの戦いの時のこと。自分は魔物と戦って、ジェイドがアリエッタと戦っていた時のこと。
(ティアのは・・・譜歌か。ジェイドはなんでもできそうだけど・・・あいつはジェイドと同じのは使わなかったけど、ジェイドが使わない譜術使ってたな・・・)
これも日記に書くか、と思い出しながら辿ってみる。
そうだ、俺が攫われた後だったよな・・・確か。
そんで、やっとアリエッタと戦うってことになった時だったかな・・・
横でガイとアニスが喋る声を右から左へ流しながら、ほんの数時間前のことを思い出していた
「ルーク、あなたはアニスとともにライガとフレズベルグを。アリエッタは私とが引き受けます」
先に走り出したの後ろで譜術の用意をしながら、ルークに声をかける。
無理に人間と戦うよりは、魔物とやらせておいたほうが足手まといになりにくい。そう思った故の判断だった
「はぁぁぁぁっ!」
はジェイドの詠唱時間を取るために、わざと敵の懐に飛び込んで剣を振るう。
両手で一本を持ち、素早さよりも 敵を詠唱に持ち込ませないための重い打撃を加え続ける。
「・・・・・・・・スプラッシュ!」
ジェイドの声と共に音素が集まる感覚を感じて、後ろに跳び退った。
「・・・やったか!」
「まだです!避けなさい!!」
水に一瞬にして視界を奪われて、譜術攻撃への対処が遅れてしまう。
が退いた後、すんでのところで避けられたらしいアリエッタがぬいぐるみを抱きしめながら叫んだ。
「ママの仇!・・・ネガティブゲイト!!」
「くっそ・・・・・・・え?」
こちらも避けようとして足を踏み出すと、ごろごろと転がっている石に足をとられてよろけ倒れてしまった
体を起こすことはせずに、余裕の表情で譜術の詠唱を始める。
『・・・・彼の力を我の力とせよ。
濁流に呑まれ、後に残るは平穏なる安楽の地・・・・・・・』
だが、譜陣が浮かび上がることはなく、の体がどす黒い紫色に光り・・・
『Death Cryin’!!』
アリエッタが発動させたネガティブゲイトの塊が霧散して消える。
ふわん、と漂った 紫とも蒼ともつかない霧が急速に水の塊に変化していく。
アリエッタの放った第一音素を、無理矢理第二音素と第四音素に分解しアリエッタへ返したのだ。
「――――――――ッきゃ・・・」
だが、土色をした水流がアリエッタに襲い掛かる前に 青い怪鳥がアリエッタを抱えて飛び上がる
「・・・無理をしますね」
アリエッタを無事地面へ下ろしたフレスベルグは、アニスのリミテッドを受け流しながらルークの方へ戻っていく。
そのアリエッタの方へ走っていきながら、追い越したに向かって呟いた。
「シャドウはノームとウンディーネの性質を持つとは言え、無理矢理すぎます」
ジェイドが詠唱を始めようとしたその時、視界の端で潰された魔物の断末魔の絶叫が悲しく響いた。
「ライガ!フレス!」
アリエッタが悲鳴にも似た声を上げる。
「アニス!許さないんだからぁ!」
魔物を殺ったアニスに向かって叫びながらぬいぐるみを大きく掲げようとする 時
ジェイドなら必ず狙うであろう、大きな隙が出来た。
とジェイド、二人から目を離したのだ
「―――――ネガティブ―――」
「あなたの相手はこの私ですよっ!」
ジェイドが突き込む槍に、アリエッタは詠唱の中断を余儀なくされ、呻きながら槍をぬいぐるみで打ち払う。
視界の隅で、トクナガが両手をついて石畳から抜け出す姿が見えた。
ちらりとアリエッタが目をやる。 が、二体の魔物はそこから出てくることはなかった。
「わああん!」
アリエッタはぬいぐるみを振りまわして、伸びた鋭い爪がジェイドの首を狙った。
「ジェイド・・・!」
術の反動で未だ動けない(というより、石の間に足が挟まってしまったらしい)がジェイドを呼ぶ。
「そうはいきませんよっ!」
槍の穂でそれを返し、その勢いを借りて柄を下からすくい上げるように振った。
柄の先が、抉るように容赦なくアリエッタの腹部にめり込んだ
直後、やっと足が抜けたらしいがよろよろと立ち上がって 転んだ
(足挟むなんて馬鹿じゃねぇの?)
転んだ瞬間のの顔が無表情だったことが恐ろしかったが。
(あーやっぱりアイツ、ジェイドより弱いわ。書かなくていいか・・・)
「―く様・・・ルーク様」
「あ?」
話半分(いや、ほとんど聞いてはいなかったが)だったルークは、アニスの質問に答えながらまたぼんやりと考えていた。
(アイツって・・・・・・第七音譜術師なのかな・・・)
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(07-04-22)